郡司和斗です。2020年に歌誌「かりん」へ載せた短歌を選び直しました。今年は3回しか欠詠していないので、なかなか優秀だと思います。60首程度の中からの24首になります。 ぬいぐるみたちが脱走した朝のぽんぽこぽんなひかりのあわい ぬいぐるみ「…
郡司和斗です。角川短歌に載ってる大学短歌バトル2020の詠草を読んで、題ごとに好きな歌を引いていきたいと思います。 【家賃】 この店の家賃はいくつぶんだろう束ねてもらった花を受けとる/岩瀬花恵 家賃が6万とかだとして、6万ぶんの花はたくさんあってう…
①連作のテーマを決める →やっぱり意識的にしろ無意識的にしろここからはじめないと、みたいな気持ちはある ②連作のテーマが決まらない →そしてテーマが決まらないまでがお約束。バカらしい話に聞こえるかもしれないけど、そもそも短歌を書く必然性って薄くね…
気になったやつを 「Victim」平出奔 手はいつも汚れていると教わって視界の端へやってくる鳥 故郷で起こった緊急事態には関連しないこの町の天気 信号がついさっき青じゃなかったらきっと渡っていた歩道橋 この町に生まれていたら通ってた小学校から飛び出す…
ぬらっ。 『世界で一番すばらしい俺』は工藤吉生の第一歌集。カバーとかついていない簡素な装丁で、同人誌みたいでかわいい感じがする。 帯には「膝蹴りを暗い野原で受けている世界で一番すばらしい俺」という一首と「おかしないい方になるが、高度な無力感…
就職の試験の後に駅前の日高屋でとんこつラーメンを食べていた。外に出ると、よれよれの作業着と汚いズボンを身に付けたおじさんと目があった。 「ねぇ、そこのおにいちゃん、おじさん財布すられちゃってさ、帰りの電車賃500円だけくれないかなぁ」 おじさん…
……駅前の吉野家に三年ほど通っている…… ……大学進学を機会に東京に来たのが一年生の夏……今が四年生の夏……ちょうどまるっと三年……引っ越して最初……それこそ半年くらいは自炊を続けていたけど……だんだんめんどくさくなり、今ではほとんどスーパーの弁当とか茹で…
やっとこさ「Sister On a Water vol.3」を読んだ。 この号は三上春海さんと初谷むいさんの特集が組まれていて、さらに口語短歌の特徴についても多く言及されている。いくつか列挙すると、 ・文語と口語の差異 ・口語の様式化 ・旧かな新かなという区分 ・で…
いくつか抜いて記念に載せます。 「ポメラニアン」 郡司和斗 文明開化、文明開化はいりませんか。ダウナーな老人の上目遣い 天然な母 母が俺を産んだ 俺が産ませた天然な母 スライスをしたポメラリアンのゼリーを陽にかざすきらきらしてる とうめいなマウス…
新歓をした。 コロナウイルスのせいで会うことが許されないから、Skypeで句会をした。オンラインゆえの支障はいろいろと出てくるんだけど、なんとなく今後も続けられそうな雰囲気はある。 あんまり人と話さない生活が続いているから、こういう機会があると必…
放浪息子15巻を読み終えた。10年ほどかけて連載されていた作品らしく、途中めきめきと漫画の技術が上達していて改めて漫画家ってすごいなあと思った。 作中の時間もほぼ現実の連載時間と合わせて進行しているらしく、小学5年生から始まった物語は、最後主人…
こんにちは、ぐんじです。 佐々木泰樹育英会という財団が主催している給付型奨学金奨学生と口語詩句新人賞奨励賞に選んでもらいました。 選考にあたって、財団が持つ謎のサイトに一年間作品を投稿し続けたのですが、サイトに作品を眠らせたままなのももった…
去年の新人賞に応募してからそろそろ一年が経ちそうなので、受賞のスピーチ原稿を載せます。今後、誰かがスピーチを考える際の参考になればうれしいです。僕自身もめちゃめちゃ他の人のスピーチ原稿を読んで参考にしたので。 ※この原稿は授賞式の「スピーチ…
花びら、と君の向こうを指差せば君が払うまぼろしの花びら/阿部圭吾「春の公園」『早稲田短歌49号』 最近、阿部くんの作品をどんどん好きになっている。この歌はわせたんの歌会で読んだのが最初だろうか。一読して、まずは構造に目がいく。かなり短歌そのも…
大雨のニュースを見てる 意味もなく必要以上に部屋を暗くして/鈴木ちはね「スイミング・スクール」 最初から鈴木さんの歌の話とは離れていくんだけど、こういう感じの文体の歌って、豚骨ラーメンと佐野ラーメンを同時に食べている気分になれる、すごい。意味…
作者は1970年生まれ。香川県出身。2016年に短歌研究新人賞最終候補とある。現在は看護師として勤めているらしく、歌集にもそれに関連した歌が多い。 落書きに見える数字を手にかきしあの人もまた看護師だろうか 看護師の慌ただしい日常が、落書きに見えると…
こんにちは。ぐんじです。 なんか気づいたら2019年が終わることになってる。もう本当にはやすぎて意味がわからない。特に9、10月あたりからの加速がエグくて、10月になったのが信じられないうちに11月になって、11月になったのが信じられないうちに12月にな…
ばくぜんとおまえが好きだ僕がまだ針葉樹林だったころから/東直子 人を嫌いになるのには理由があっても、好きになるのには理由はいらない、とかなんとかどこかで読んだ気がするけど、実際にはどうでもいい理由を後付けしたりすることが多いと思う。だから、…
台風19号が来る前に『空の青さを知る人よ』を観た。 けっこうセリフで、女のくせに、とか、女であえてそれをするのかっこいい、とかあって気になった。でも、就職する生徒が多そうな高校の進路相談の場面を描いたり、基本的に登場人物が恋愛脳だったりすると…
kazuto gunji1998年生。 短歌甲子園出て詩歌に興味持つ(2016) 短歌を作りはじめる(2017) 俳句を作りはじめる(2018) 俳誌「蒼海」入会(2018) 歌誌「かりん」入会(2018) 第1回笹井宏之賞最終候補(2019) 第39回かりん賞(2019) 第62回短歌研究新人賞(2019) 2020…
『光のアラベスク』は、「令和三十六歌仙」というシリーズの一つ。なんなのかはよくわかっていません。365首を収めた第5歌集です。装丁の薄い紙がきらきらしていて好きです。 松村さんは「歌林の会」所属。歌をまとめて読むのはじめてでした。沖縄や戦争、新…
🐬🐬🐬🐬🐬 Twitterにかりん賞の受賞作をアップしたのですが、ブログにも載せたいと思います。他の結社誌はなかなか手に入らないと思いますので。 かりん賞は、「歌林の会」の結社賞(結社賞っていうのはいくつかある短歌の会ごとの新人賞)です。今年で39回目になります…
ちょっと時間が経っちゃったけど短歌研究新人賞で気になった歌の感想を書くよ。 らうたしと口に出すとき思い出す あの自販機のふるふるゼリー /中野霞「拡張子になる」 普段からふるふるゼリーを買うときに「らうたし」って言ってそう。なんかJKの間で流行り…
Twitterの応募が当たったので『はなぞの』をもらった。もらった人は感想を書くということなので、感想を書く。 カウンターに高く積まれてああこれはカンブリア紀の地層の歪み/平尾周汰「雨の日の」一首前に〈横たわるペーパーバックの砂色の染み ビールの空…
ふだん北赤羽歌会でお世話になっている、吉田さんの第一歌集。 こういう感想はあまりよくないのかもしれないけれど、歌の打率が高い。各章のやりたいこともいぬのせなか座のレイアウトと合わさって明確でありつつ、余白が残るくらいには曖昧だった。 あと、…
ねむらない樹のvol.2が発売された。第一回の笹井宏之賞が発表されているので、気になった歌を読む。 バーミヤンの桃ぱっかんと割れる夜あなたを殴れば店員がくる /柴田葵「母の愛、僕のラブ」大賞の作品。店員がくる、のかなしさ。あたりまえといえばそうだ…
さうだよねむりだつたよね林檎からしづかにらせん剥いでゐる夜/ 「魔王」『海蛇と珊瑚』藪内亮輔 明日っていうかもう今日だけど、キングダムハーツ3が発売される。友達の家でPS4を借りて夜通しやるつもり。1と2はやったことないんだけど、ストーリーだけYouT…
現代短歌の家族の歌って、結構偏りがあるきがする。妹を詠んだ歌、母を詠んだ歌はよくあるのに対して、弟を詠んだ歌はあまりないような。父を詠んだ歌をは中間くらいだろうか。 のつちえこさん企画の長子ネプリに出した歌と「かりん」1月号に弟を詠んだ歌を…
意味のないピースサインはしたくないみんなで長生きしようみんなで 山川創 つい口ずさみたくなるようなキャッチーなフレーズが印象的な一首。 「意味のないピースサインはしたくない」という言葉の背景には、この社会には意味のないピースサインをする人が一…
やっと秋になってきた感じですね。こんにちは。 かりんの先輩、辻さんから第一歌集『あしたの孵化』をいただいたので、読んでいきたいと思います。 初読の感想は、とても抑制が効いていてバランス感覚が良いなあ、という感じでした。ドラクエでスキルポイン…