2024-01-01から1年間の記事一覧

郡司和斗『遠い感』書評 遠い世界、遠い感情 貝澤駿一

感情がなんだか遠いな、と、郡司和斗の歌を読んでいると時々思う。感情を吐露することは歌を作る動機のもっとも大きなひとつになりうるものだが、郡司はあまりそれに執着しない。若く、瑞々しい感性を持っている(と言われがちな年代だ)のに、少し珍しいな…

郡司和斗『遠い感』書評「一人だけ」を見つける能力  川島結佳子

一人だけの民族みたいはなびらをひたいにつけて踊るあなたは 挙げた歌は本歌集『遠い感』の巻頭歌である。私は花見の席で踊っていた「あなた」の額に、降ってきた桜の花弁が貼りついたのを想像する。そう考えると楽しそうな場面であるが、「ひとりだけの民族…