2022-01-01から1年間の記事一覧

川柳50句 ENGINE

文学フリマ東京で配布した川柳のテキストデータになります。 実物の紙に載せていた散文は当日手に取ってくれた人へのサービスということで、この記事には掲載しません。(というか意地悪なこと書いてて載せるのこわぽよです) ENGINE 郡司和斗 判決の週はふう…

文学フリマ東京(2022.5)で買った本の感想

夜更けまでと夜更けからの現在地すれちがうもちきりやわんさか /カリフォルニア檸檬『み未して視みうつつひみづ』 抽象的な次元の移動感覚をみせてくれた。 しりとりと逃水いくばくかの現金 /大塚凱『ねじまわし第3号』 逃水、で想起される季節感に「しりと…

川柳五十一句「療養」

療養 郡司和斗 おすすめの憲法はCCレモン 傾きがマジックミラー号なのに キムチだけでも覚えて帰って 賢者ならホットパンツの色選び 見上げれば別の宇宙の文化の日 カメラワークが湯豆腐だった 探偵も歌っているよ海の絵に 太宰さんだけ会計で笑ってる 水…

俳句三十句連作「塔」

塔 郡司和斗 木の駅の影青々とこどもの日 更衣鏡の中を鳥一羽 朝蝉や半紙の表てらりとす 枇杷の実や仕切りの多き進路室 炎昼をざんと光りし滑り台 あやとりの塔ゆふぐれはゆふやけへ 彫像の小さきペニスを天道虫 黒鍵の隙間へ落つる玉の汗 油絵の具のざらつ…

文芸同人誌「焚火」発売

【内容】 ①過去の読書会 大木あまり『遊星』 イシグロキョウヘイ 映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』 平岡直子『みじかい髪も長い髪も炎』 鴇田智哉『エレメンツ』 笹井宏之賞「ねむらない樹vol.6」 津川絵理子『夜の水平線』 ②誌上読書会 石松佳『針…

川柳っぽさとは?

「かりん」2021.11月号 今月のスポット 髙良真実さんに送ってもらって『川柳スパイラル・第12号』を読んだ。『川柳スパイラル』は小池正博さんが発行している川柳雑誌で、同人誌と結社誌の間のような誌面構成になっている。12号以前の目次はまったく知ら…

諦めからはじめる

「かりん」2021.8 今月のスポット 平岡直子『みじかい髪も長い髪も炎』を読んだ。僕の印象だが、既に三、四冊歌集が出ているくらいの認知度が平岡さんにはあると思う。どこの批評会に参加しても毎回パネラーとして居るし、結社、学生短歌会、ツイッターのど…

アニメ・漫画は短歌にどのように詠まれてきたか

「かりん」2021.5月号 「今月のスポット」 三月八日に『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開された。本作はさまざまな事情により二度の公開延期が行われており、最初に予定されていた二〇二〇年六月二十七日からは約九ヵ月も遅れることになった。僕も十日…

中止になった大学短歌バトル

「かりん」2021.2月号 今月のスポット 角川「短歌」十二月号に特別企画として「大学短歌バトル2020 詠草発表」が掲載されている。この詠草集には今年の3月に開催される予定だった大学短歌バトルのトーナメント(予選ではない)の短歌が全首載っており、短…

テン年代の短歌

「かりん」2020.11月号 今月のスポット 九月五日に現代俳句協会青年部主催による勉強会「テン年代が俳句に与えたもの」がYouTube liveにて開催された。俳句に関する発表が中心に行われた勉強会であったが、ゲスト的なポジションとして短歌サイドからも瀬口真…

リアリズムってなんだ

「かりん」2020.8月号 今月のスポット 「短歌研究」2020年6月号において、「永井祐」と「短歌2010」、という特集が組まれた。おそらく、短歌研究社から永井祐の第一歌集『日本の中でたのしく暮らす』が再刊されたことをきっかけとしての特集だろう…

第二回笹井宏之賞発表

「かりん」2020.5月号 今月のスポット 第二回笹井宏之賞が短歌ムック「ねむらない樹vol.4」で発表された。今回の選考委員は、大森静佳、染野太朗、永井祐、野口あや子、長嶋有の五名。昨年の文月悠光と入れ替わり長嶋有が参加した形になる。受賞作には、鈴木…

同年代同人誌の意義~文フリおつかれさまでした~

「かりん」2020.2月号 今月のスポット 十一月二十四日に第二十九回文学フリマ東京が開催された。「かりん」からも数名参加しており、思いつく限りだと大井学さん(Tri)、上條素山さん(外大短歌)、僕(外大短歌)などが挙げられる。文学フリマでは主に同人誌が販…