2020-01-01から1年間の記事一覧

エア大学短歌バトル2020

郡司和斗です。角川短歌に載ってる大学短歌バトル2020の詠草を読んで、題ごとに好きな歌を引いていきたいと思います。 【家賃】 この店の家賃はいくつぶんだろう束ねてもらった花を受けとる/岩瀬花恵 家賃が6万とかだとして、6万ぶんの花はたくさんあってう…

短歌連作を書くときの流れ ざっくり編

①連作のテーマを決める →やっぱり意識的にしろ無意識的にしろここからはじめないと、みたいな気持ちはある ②連作のテーマが決まらない →そしてテーマが決まらないまでがお約束。バカらしい話に聞こえるかもしれないけど、そもそも短歌を書く必然性って薄くね…

第63回短歌研究新人賞感想

気になったやつを 「Victim」平出奔 手はいつも汚れていると教わって視界の端へやってくる鳥 故郷で起こった緊急事態には関連しないこの町の天気 信号がついさっき青じゃなかったらきっと渡っていた歩道橋 この町に生まれていたら通ってた小学校から飛び出す…

工藤吉生『世界で一番すばらしい俺』感想

ぬらっ。 『世界で一番すばらしい俺』は工藤吉生の第一歌集。カバーとかついていない簡素な装丁で、同人誌みたいでかわいい感じがする。 帯には「膝蹴りを暗い野原で受けている世界で一番すばらしい俺」という一首と「おかしないい方になるが、高度な無力感…

第62回短歌研究新人賞授賞式 スピーチ原稿

去年の新人賞に応募してからそろそろ一年が経ちそうなので、受賞のスピーチ原稿を載せます。今後、誰かがスピーチを考える際の参考になればうれしいです。僕自身もめちゃめちゃ他の人のスピーチ原稿を読んで参考にしたので。 ※この原稿は授賞式の「スピーチ…

阿部圭吾の短歌

花びら、と君の向こうを指差せば君が払うまぼろしの花びら/阿部圭吾「春の公園」『早稲田短歌49号』 最近、阿部くんの作品をどんどん好きになっている。この歌はわせたんの歌会で読んだのが最初だろうか。一読して、まずは構造に目がいく。かなり短歌そのも…

鈴木ちはねの短歌

大雨のニュースを見てる 意味もなく必要以上に部屋を暗くして/鈴木ちはね「スイミング・スクール」 最初から鈴木さんの歌の話とは離れていくんだけど、こういう感じの文体の歌って、豚骨ラーメンと佐野ラーメンを同時に食べている気分になれる、すごい。意味…