2019-01-01から1年間の記事一覧

『春原さんのリコーダー』東直子

ばくぜんとおまえが好きだ僕がまだ針葉樹林だったころから/東直子 人を嫌いになるのには理由があっても、好きになるのには理由はいらない、とかなんとかどこかで読んだ気がするけど、実際にはどうでもいい理由を後付けしたりすることが多いと思う。だから、…

自己紹介

【略歴】 郡司 和斗(ぐんじ かずと) 1998年6月生。茨城県出身。俳誌「蒼海」、歌誌「かりん」所属。「焚火」同人。大学在学中に連作「ルーズリーフを空へと放つ」で第62回短歌研究新人賞受賞。他、第39回かりん賞、2022年度口語詩句賞新人賞受賞。公益財団法…

『光のアラベスク』 松村由利子 を読む

『光のアラベスク』は、「令和三十六歌仙」というシリーズの一つ。なんなのかはよくわかっていません。365首を収めた第5歌集です。装丁の薄い紙がきらきらしていて好きです。 松村さんは「歌林の会」所属。歌をまとめて読むのはじめてでした。沖縄や戦争、新…

第62回短歌研究新人賞 好きな歌

ちょっと時間が経っちゃったけど短歌研究新人賞で気になった歌の感想を書くよ。 らうたしと口に出すとき思い出す あの自販機のふるふるゼリー /中野霞「拡張子になる」 普段からふるふるゼリーを買うときに「らうたし」って言ってそう。なんかJKの間で流行り…

95年生まれ短歌同人誌『はなぞの』

Twitterの応募が当たったので『はなぞの』をもらった。もらった人は感想を書く決まりなので、感想を書く。 カウンターに高く積まれてああこれはカンブリア紀の地層の歪み/平尾周汰「雨の日の」一首前に〈横たわるペーパーバックの砂色の染み ビールの空き瓶 …

『光と私語』 吉田恭大

ふだん北赤羽歌会でお世話になっている、吉田さんの第一歌集。 こういう感想はあまりよくないのかもしれないけれど、歌の打率が高い。各章のやりたいこともいぬのせなか座のレイアウトと合わさって明確でありつつ、読者が解釈で遊ぶ余地が残るくらいには曖昧…

ねむらない樹 vol.2 笹井宏之賞発表

ねむらない樹のvol.2が発売された。第一回の笹井宏之賞が発表されているので、気になった歌を読む。 バーミヤンの桃ぱっかんと割れる夜あなたを殴れば店員がくる /柴田葵「母の愛、僕のラブ」大賞の作品。店員がくる、のかなしさ。あたりまえといえばそうだ…