第62回短歌研究新人賞 好きな歌

🐙🐟🌟

ちょっと時間が経っちゃったけど短歌研究新人賞で気になった歌の感想を書くよ。





らうたしと口に出すとき思い出す あの自販機のふるふるゼリー /中野霞「拡張子になる」


普段からふるふるゼリーを買うときに「らうたし」って言ってそう。なんかJKの間で流行りそうではある。というかもしかして流行ったことがある!?






歩道橋の階段裏の空間が金網で囲まれ何もない /浪江まき子「象」


たぶん物を捨てられたり自転車を停められないように金網で囲ってあるんだろうね。歩道橋によってはあったりなかったりするからその街の治安や生活がみえてくる。





花びらが窓を通って部屋に来る部屋はふたりの公園だから /阿部圭吾「春の公園」


謎理論を展開する歌はたくさんあるけど、成功している歌は意外とすくない印象を持っている。この歌はとてもいいと思う。公園と部屋の微妙な類似と、この歌に来るまでの連作の配置が成功しているのかな。







三つとも黒のリフィルに差し替えた三色ボールペンを部下さがす /奥村知世「抵抗をしない鳩」


黒はよく使うから、じゃあ三つとも黒のリフィルにすれば長持ちするやん!って発見をしたけど、置いた場所を忘れるあたりその人の根本的なところは変わっていない感じがおもしろい。







風に攫われるのりたま父親のへんてこぴーな投球フォーム /草間凡平「春の公園」


へんてこぴーにばかり目が行くけど、風に攫われるのりたまのほうがよほどおもしろい。お弁当を食べながら父親の草野球でも観ているのかな。






いつもなら挨拶だけのおじさんが「楽しみだね」と指さす桜 /さくらまりこ「知らなくていい」


若干おじさんへの目線にテンプレ感があって気になるけど、ゾンビがゾンビじゃなかったみたいな、フラグを回収したあとにセリフが変わるキャラクターみたいな、なんかゲームっぽい印象で不思議。





最終選考通過作はまた今度~~

🦀🦀🦀🦀🦀🦀🦀🦀🦀🦀