2020年かりん月詠まとめ(24首)

郡司和斗です。2020年に歌誌「かりん」へ載せた短歌を選び直しました。今年は3回しか欠詠していないので、なかなか優秀だと思います。60首程度の中からの24首になります。

 

ぬいぐるみたちが脱走した朝のぽんぽこぽんなひかりのあわい

 

ぬいぐるみ「この家じゅうの鍵穴にガムねじこんでから逃げようよ」

 

秋晴れの港でビール飲みながら歩くようになにかを思い出す

 

目覚めたら冬のみずうみ父さんはいなくてシートベルトを外す

 

電飾の並木を歩く ねじれつつ引きずられているきいろの子ども

 

この引きにリーチせずにはいられないな卓上に細い指をのばして

 

洋梨のようにつめたい手でなぞる冷たい墓の文字の窪みを

 

あからひく朝比奈れいに手拍子を合わせて下手がいいソロパート

 

また増えたシャッター 駅の階段を降りるとき冬の輪郭に沿う

 

ダイエット器具がふるえる駅前のヨドバシの広場をゆっくり通る

 

ケルベロスに生まれてみたい笑うこと泣くこと怒ること同時にできる

 

大宮に着いたあたりで起こしてと告げて冷たい窓辺に眠る

 

YOU ARE (NOT) ADVANCE 屋上にいてライターをまた忘れてきたと

 

たぶんもう行かない店のクーポンを雨粒と一緒に強く握った

 

ベーコンの厚みのようなよろこびがベーコンを齧るとやってくる

 

映画館で残したチュロス食べながら遮断器が上がるのを待っている

 

泉から水を掬ってくるように思い出を話した夏の森

 

瞬間の軸のような夜がやってきてきみと曲技飛行の話をした

 

公園のまわりを散歩するときのくすぐったさがやたらかわいい

 

Tシャツにかすかに乳首うかんでて突いてみるそのかすかな乳首

 

筆記試験をむかえるまではドライカレーばかり食べてた秋の日のこと

 

白いからシロと呼ばれるその犬の親犬もその親犬も白

 

じゃんけんで負けて蛍に生まれたのと言う人は、まあ、勝ちだよなーって

 

みかづきが明るい 総理大臣のやりがいを喋っている両親