【日記】豚丼

……駅前の吉野家に三年ほど通っている……

 

……大学進学を機会に東京に来たのが一年生の夏……今が四年生の夏……ちょうどまるっと三年……引っ越して最初……それこそ半年くらいは自炊を続けていたけど……だんだんめんどくさくなり、今ではほとんどスーパーの弁当とか茹でるだけのうどんやパスタ、吉野家、マックですませる日々……特に吉野家はよく行く……

 

街に出かける前や後……お腹が空いていてもいなくても……なんとなく入ってしまう……店内は狭いラーメン屋のような席の配列……扉をあけて、私は手前から三つ目の席にいつも座る……メニューをひらくが、頼むものは決まって豚丼だ……豚丼の並盛だ……たまに鮭定食だ……でもほとんどは豚丼だ……「いらっしゃいせー」と店員が言う……平日の昼はハキハキしゃべるおばさんが働いている……頼まなくても水をかえてくれる気のきいた人……いつものように豚丼を頼む……豚丼を頼みすぎて、裏では豚やろうと呼ばれているかもしれない……

 

豚丼ばかり食べているそんな私だが、ひとつだけ豚丼に文句がある……たまねぎがいらない……豚丼に入っているたまねぎがいらない……だからいつもたまねぎを残している……小鉢に、まだつやのあるたまねぎを残している……たまねぎを残しすぎて、裏ではたまねぎやろうと呼ばれているかもしれない……毎度この調子だ……今日も豚丼を頼んだ……「豚丼いっちょー♪」……おばさんのハキハキとした声が店内に響く……豚丼がくる……豚丼を食べる……食べている……、……?!……この豚丼……たまねぎが入っていない?!……確率的にそんなことありえるのだろうか……豚丼にたまねぎが入っていない……たまねぎが豚丼に入っていない?……三年通った吉野家……見慣れた店員のおばさん……いつも豚丼を頼み、いつもたまねぎを残す私……なるほど、そういうことか……店員さんに余計な配慮をさせてしまったようだ……ありがとうございます……感謝……

 

だが、たまねぎを豚丼に入れていないということは……確定で店員は私をたまねぎ残しやろうだと認識していることになる……なんとも恥ずかしい……恥ずかしい骨……恥骨……骨の中では比較的気になる部類……店員さんの恥骨……豚丼のたまねぎ……豚の恥骨……なんだか気恥ずかしくて……数週間はその吉野家に行けそうにない……でも……きったまたすぐ吉野家に行く……そして私は豚丼を頼む……そのとき店員さんはまたたまねぎを抜いてくれるだろうか……抜いてくれたら……軽く会釈をしたいと思う……ひとこと……ありがとうございますと言おう……。