第39回かりん賞

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Twitterにかりん賞の受賞作をアップしたのですが、ブログにも載せたいと思います。他の結社誌はなかなか手に入らないと思いますので。

 

かりん賞は、「歌林の会」の結社賞(結社賞っていうのはいくつかある短歌の会ごとの新人賞)です。今年で39回目になります。よく把握していないのですが、坂井修一さんや米川千嘉子さんも過去に受賞しているのでしょうか。賞特徴としては、一年間の月詠(だいたい70首くらいたまる)を再構成して30首の連作にし、応募するという点です。僕は月詠が40首しかたまっていなくて、構成にかなり苦労しました(数が少ないと楽だと組む前は思っていた)。要するに、一年間の総力戦というわけです。それではどうぞ。

 

「ニュースに母は」  郡司和斗

 

まあ親子で死んで良かったねと煎餅齧りながらニュースに母は

 

どうしたのと問えば湯船に沈みゆくおとうと そうか明日からプール

 

炭のシャンプー薔薇のシャンプーオレンジのシャンプーすべてまぜてわしわし

 

潰されて染みになっても毛虫だとわかる 毛虫はたいしたもんだ

 

スーパーの弁当を廃棄する前に半額シールをはがしてあげる

 

エスカレーターのベルトに今日もがんばると爪で削ってある日曜日

 

地下鉄のドアに貼られた広告の小さな広瀬すずを撫でまくる

 

どうみても半々ズボンだったよないつもふとももきらきらしてた

 

バタフライどういう動きだったっけ木陰できみが泳ぎはじめる

 

本当に楽しい飲み会のあとの楽しい頭痛ずっとつづけよ

 

ぺちぺちと切断された電線の僕らの日々はそこにあるだけ

 

曇天の路地であなたは「友達になるならバイキンマンがいい」と

 

水槽の檻の隙間にむっきゅりと挟まっているアザラシの鼻

 

くったりと日向に眠るライオンのしっぽに手術跡がきらめく

 

Do it with others でいきましょうひかりをここに置いておきます

 

岩影のさみしい象をみつめれば僕もさみしい秋の夕暮れ

 

なんとなく抜いた鼻毛が真っ白で、もう後ろまで迫ってきてた

 

さしこんだ夕陽に顔の輪郭がほどけだしてるうけつけのひと

 

浅瀬から駆け寄ってくる女の子にんじゃにんじゃとつまさきだちで

 

夕立の川を駅舎で眺めてる あ、うん、そうね、とささやきながら

 

ショーシャンク刑務所にゆく心地して自動車学校本日入校

 

シャンプーをしたあとすぐにシャンプーをしたのかどうか忘れてしまう

 

おとうとの絵日記にいるわたくしは腕が四本関節はない

 

ここはもう本場の中華料理店実習生の手はひえびえと

 

「旦那さんなにをしてるの」「今家で生姜磨いてます」と母さん

 

公園におでんをたべるこどもたち―△〇□―□□〇―〇〇〇―

 

膨らみゆく冬のひとひに鉄棒の錆びた塗装をきりきりと剥く

 

砂場に手を差し入れてみる つめたい プラレールの線路が出てくる

 

ポケットに朝入れていたホッカイロを握れば死にたての小鳥のような

 

遠い冬の記憶のようなざわめきの動物園にひとりうずくまる