ぼくが好きな山川さんの短歌

意味のないピースサインはしたくないみんなで長生きしようみんなで 山川創

 

つい口ずさみたくなるようなキャッチーなフレーズが印象的な一首。

 

「意味のないピースサインはしたくない」という言葉の背景には、この社会には意味のないピースサインをする人が一定数いるということを主体が感じ取っているのだと僕は思った。そのような社会のなかで、パフォーマティブで胡散臭いピースサインをせめても自分はしたくないと祈っているのだ。にもかかわらず、主体はそんな社会だとわかっていながらも、みんなで長生きをしようと呼びかけている。なぜか。私たちは否応にも社会のなかで生きていくしかないからだ。ならば、むしろこのクソな社会を生き抜いてやる、なんなら長生きしてやる、しかも自分だけではなく周りもまきこんでやる、そんな生命力をプリミティブな下の句からは感じた。そしてそれと同時に、上の句と下の句の内容のギャップから生きていくことのつらさ(語彙力なし)も浮かび上がっていると思う。世の中がつらいので死にます、ではふつうでつらさが伝わらない。世の中がつらいので生きます、と言うほうが一度人を立ち止まらせる力を持っていると思う。

 

いや、ほんとうはもっと不気味な歌だと知っている。だけどそっちの読みをうまく言語化できない。関係ないけど米津玄師のピースサインは好き。あと、この前実家に帰ったら母親が「米津さんいいよねぇ」と言っていて驚いた。米津さん?!そんなに心理的距離近いのかよ。 もう立冬やんけ。